ロコモ・サルコペニア対策

「ロコモティブシンドローム」「サルコペニア」という言葉を聞いたことはありませんか?
自立度の低下や、寝たきりといった要支援・要介護になった原因の第1位は「運動器の障害」です。また入院して治療が必要となる運動器障害は50歳以降に多発しています。
そんな運動器の障害とは?なぜ、そのような症状が現れるのか? また、対策方法にはどのような方法があるのかを紹介します。

ロコモ・サルコペニア対策

「ロコモティブシンドローム」ってなに?

1まずは知ってください。「ロコモティブシンドローム」のこと

ロコモティブシンドローム(ロコモ)は「運動器症候群」とも呼ばれる、2007年に日本整形外科学会により提唱された概念です。筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に、障害が起こり、立ったり歩いたりといったことが、困難になっている状態をいいます。ロコモが進行すると日常生活に支障をきたすようになり、将来的に支援や介護が必要になってしまうケースも。寝たきりになると筋肉はさらに衰えてしまうため、ますます健常な毎日を送ることが難しくなるという悪循環に陥りかねません。
いつまでも自分の足で歩き、支援や介護を必要としない生活を送るためには、ロコモのことをよく理解し、適切な対策を講じることが大切です。

ロコモと健康寿命の関係って?

1元気な生活を送るための「健康寿命」と、ロコモの関係

平均寿命という言葉は、誰しも聞いたことがあると思います。では、「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか?「健康寿命」とは、自立した生活を送れる期間のこと。厚生労働省などの調査(※)によると、平均寿命より健康寿命が、男性は約9年、女性は約12年も短いことが判明しました。この差分は、「支援や介護を必要とする期間」を意味します。ロコモが進行すると健康寿命はますます短くなり、支援や介護を必要とする期間がどんどん長くなってしまう恐れがあります。「老後も、旅行やハイキングを楽しみたい」「生涯現役でいたい」という方は、長生きすることだけでなく、健康寿命のことも意識してみてください。

(※)厚生労働省「平成25年人口動態統計」「平成25年国民生活基礎調査」「平成25年簡易生命表」、総務省「平成25年推計人口」より算出。

「サルコペニア」ってなに?

1筋肉が不足している状態

サルコペニアは直訳すると、「筋肉の減少」。「サルコ(筋肉)」と「ぺニア(減少)」の造語で、「加齢とともに筋肉が落ち、筋力や身体機能が低下する状態」を指します。原因は加齢、運動不足、低栄養、性ホルモンや成長ホルモンの減少、環境など多岐にわたりますが、とくに、運動不足やタンパク質不足が大きいといわれています。
いつまでも健やかな毎日を送るためにも、まずは毎日の食事や、簡単にできる運動からはじめてみましょう。

運動と食事ではじめる「筋肉痩せ」対策

1<運動のポイント>

ロコモもサルコぺニアも、筋肉に関して言えば、運動で予防することができます。
筋肉は、何歳になっても、生まれ変わり、強く鍛えることができるからです。

「運動って大変そうだし、具体的に何をすればいいのかわからない…」という方は多いかもしれません。しかし、そんなに身構える必要はないのです。我々が毎日している「歩く」という行為は、ほんの少し「大股で歩く」、「早歩きをする」など工夫をして、脚の筋肉をしっかり使うことで、立派な運動になります。

<運動>

本格的な全身運動に限らず、家でできる簡単な「プチトレーニング」でも、効果が期待できます。

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2<食事のポイント>

必要な栄養を補給することは、サルコペニア対策に限らず、元気な毎日を送るための第一歩。タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、体内ではつくり出せない9種類の必須アミノ酸は、食事など外部から摂る必要があります。またその中でも、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類は枝分かれをしたような形をしているため、分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched Chain Amino Acids)と呼ばれ、人間の筋肉を構成するたんぱく質中に約35%も含まれており、筋肉をつくる上で非常に重要なアミノ酸です。肉類、魚類、大豆製品などタンパク質が豊富に含まれる食品を率先して食べましょう。

<食事>

タンパク質を摂るうえでは、量だけではなく、それを構成するアミノ酸をバランスよく摂ることもとても大切です。

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POINT! 「サルコペニア肥満」にご注意を

サルコペニアと肥満が重なった「サルコペニア肥満」が危惧されるようになっています。勘違いされることもあるのですが、「筋肉が落ちる=脂肪も一緒に落ちる」とは限りません。それどころか、今まで筋肉が占めていた部分が脂肪に置き換わってしまうことも。この場合、体型があまり変わらないため、外見上は気づきにくく発見が遅れるケースもあります。
サルコペニア肥満は単なる肥満と異なり、運動能力、特に歩行能力が落ちている状態なので、非常にやっかいです。近年では高齢者に限らず、食事制限ダイエットや運動不足などにより、若い世代にもサルコぺニア肥満予備軍がみられます。

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