筋肉の働き
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筋肉は、決してボディビルダーやスポーツ選手だけに必要なものではありません。姿勢を維持したり、立つ・歩くなどの日常生活のあらゆる動作をするために欠かせないことはもちろん、心臓や内臓の働きにも関与するとても重要な器官です。
筋力が衰えないよう維持し、必要に応じて鍛えることは、健康的で人間らしい日常生活を送る上で非常に重要なことです。
筋肉と筋肉の種類
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体には大小600を超える筋肉が存在し、生命活動を維持する上でも重要な役割を果たしています。 筋肉はその構造や働きの違いによって、骨格筋、心筋、平滑筋の3つの種類に分けられています。
骨格筋(こっかくきん)
骨格筋(こっかくきん)とは運動して増やせる筋肉のことで、筋肉全体の約40%を占めています。
関節をまたいで、2つの骨についている筋肉が伸び縮みすることで、体を動かすことができます。心筋(しんきん)
心臓を動かしている筋肉のことです。
平滑筋(へいかつきん)
消化管や血管を動かし、消化や血流の助けをしている筋肉のことです。
筋肉は、私たちが生きていくために欠かすことのできない、さまざまな活動を担っています。
体を動かす、体を安定させる。
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筋肉の中でも骨格筋は、骨と骨をつなぐようについており、歩く、走る、座るなどの一環の動作も、筋肉が伸び縮みすることで、成り立っているのです。
また骨格筋が関節を安定させることで姿勢を保ち、正常な動きをすることができます。
人間は、常に重力の影響を受けており、体を支えるだけでも多くの筋肉を必要とし、力を出し続けています。
衝撃の吸収、血管・臓器の保護
- 外部の衝撃から、体をまもるのも筋肉の役割です。
筋肉は、内臓や骨などを衝撃から守ってくれます。
また、筋肉で覆うことによって、血管や臓器も守っています。
ポンプの役割
- 心臓から押し出された血液は、体の隅々までめぐって静脈を通り再び心臓に戻ってきます。
心臓から離れた場所になるほど、送り出された血液の勢いは弱まります。その時、筋肉が伸びたり縮んだりすることで、静脈に圧力がかかり、血液の循環が促進されるのです。
この作用は「筋ポンプ作用」と呼ばれ、人にとってとても重要なものです。
なかでも、心臓からもっとも遠い足に巡ってきた血液を心臓に押し戻す時に重要な役割を果たすのが、ふくらはぎの筋肉であり、その働きから「第二の心臓」とも呼ばれています。

熱をつくる、代謝を上げる
- 人間は常に体温が36度から37度を保たれるようになっています。この体の熱生産の約6割を筋肉が占めています。熱を発生させることで、寒い環境下でも一定の体温を保つことができるのです。
それだけ生命維持という点においても大切な熱を発生させるため、筋肉は常に、エネルギーを消費しています。そして、その主なエネルギー源は糖質と脂質です。筋肉が多いと、この熱の発生量(いわえる基礎代謝)も増えるため、代謝がアップし、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防にもつながっていきます。
免疫力を上げる
- 筋肉は人間の免疫力にも関係があります。リンパ球を始めとする免疫細胞は、グルタミンというアミノ酸によって活性化されます。このグルタミンは、筋肉内に多く蓄えられていることから、筋肉が減ってしまうと免疫機能が低下してしまうといわれています。
ホルモンの産生
- 骨格筋が産生するホルモンの主な役割には、筋肉や骨の形成や再生、抗炎症作用、糖質や脂質の代謝への関与、心筋細胞や血管内皮細胞の保護などがあるといわれています。
水分を蓄える
- 人間の体の中で、最も大量の水分を保持しているのは、実は「筋肉」です。
脂肪量が多い女性にくらべると、筋肉量が多い男性のほうが体内総水分量は多く、健康な成人で、体重の60%前後(男性60%、女性55%)となっており、中でも体重60kgの成人男性は、約15kg~20kgもの水分が筋肉に蓄えられています。
筋肉が少ない人は水を飲んでも体に貯めておくことが難しく、脱水症状を起こしやすくなるのです。
また、筋肉量が大きく減りやすい年配者の場合、体の中の水分が5kg~10kgも減ってしまっている場合もあり、毎年、年配者に熱中症を発症する方が多い理由の一つになっています。