ウソッ!というところでつまずいてしまう。

ウソッ!というところでつまずいてしまう。

ウソッ!というところでつまずいてしまう。

ウソッ!というところでつまずいてしまう。

相談:B子さん(金沢県在住 主婦・57歳)

「ここ1年くらいでしょうか、何でもないところでつまずいてしまうんです。
ちょっとした段差に引っかかったり。
先日は、階段でも踏み外しそうになってしまって、ぎりぎり手すりにつかまって大事にはならなかったものの、本当にヒヤヒヤしました。
下りの階段を降りるのも、最近こわくて。

高齢者の転倒事故とか、ニュースで見るたびに、私もそうなるのかなって不安になってきて。」

実は、筋肉は下半身から落ちやすい

実は、筋肉は下半身から落ちやすい

再春館製薬所 薬剤師
中居寛(なかい・ゆたか)



B子さんに限らず、50歳を過ぎたころから、何でもないところでつまずいてしまったり、支えきれなくて顔から転んで怪我をしてしまったという方は、意外に多くいらっしゃいます

実は筋肉の中でも、下半身の筋肉が特に落ちやすく、何もしないでいると減少し続け、20代のころより50歳なら約10%、80歳なら約30%、筋肉量が減るといわれています。

また、足だけでなく腰回りの筋力が弱ることで、下半身が不安定になり、全身のバランスがとりにくくなってしまいます。足を持ち上げるためには、腹筋(ふっきん)や腸腰筋(ちょうようきん)の筋肉が大切で、ここの筋肉が弱ってしまうと、自分が思っているよりも足が上がっておらず、そのためにつまずいてしまうというケースがよくあります。

使っていないとドンドン弱くなる筋肉と脳の連携

高齢になると、筋力が低下して足腰が弱くなりがちですが、それだけでなく「動け」という信号を送る神経もよく働かず、筋肉に伝わりにくくなります。そうすると、危ないと思っても、とっさに手を出すことができず、顔から転んでしまうというようなことになってしまうのです。

からだを思い通りに動かすには、「神経から筋肉への指令の伝わり」が、しっかり維持されていることも重要なのですが、普段から筋肉を動かし、筋肉から脳、脳から筋肉への信号がスムーズに行ったり、来たりする状態が保てていないと、そのつながりはどんどん弱くなってしまいます。

要支援・要介護につながる転倒

  • 要支援・要介護につながる転倒
  • 要支援・要介護につながる転倒

『平成25年度厚生労働省国民生活基礎調査』によると、自立度の低下や、寝たきりといった要支援・要介護になった原因の第1位は「運動器の障害」です。また入院して治療が必要となる運動器障害は50歳以降に多発しています。その運動器障害は、「ロコモティブシンドローム」と呼ばれており、その中でも筋力の低下を「サルコぺニア」と呼んでいます。


内閣府が発表している『平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果』においても、10人に1人は1年以内に自宅で転んだことがあると答えられており、そのうち3人に2人が何らかの怪我をされています。


怪我の状況を見ると、「打撲」が32.3%と最も多く、次いで「擦り傷、切り傷」が25.6%、「ねんざ、脱臼、突き指」が9.7%。それだけでなく下半身の骨(腰の骨を含む)を折ったという方も5.6%と、その怪我をきっかけに寝たきりになりかねない大けがをしてしまうこともあるようです。

いつまでも自分のことは自分でできる体のために。

要支援、要介護というと、B子さんにとってはまだ先のことと思われるかもしれませんが、筋肉は50代から加速度的に低下していきますから、動ける今のうちに、増やしておくことが大切です。

筋肉を増やすためには、「食事」「運動」が基本。

食事は、筋肉の材料となるアミノ酸、中でも体内ではつくれない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んだ食材を上手に取り入れましょう。
また運動も、特別に何かを始めないとと、気負う必要はありません。筋肉の材料を摂りながら、日常生活の中で、たとえば意識して階段を使う、掃除をする際に、体を大きく動かすとか、少し運動量を増やすだけでも筋肉に刺激が加わり、筋力アップの後押しにつながります。

まずは始めることが大切です。

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